相続と贈与についてお答えします。
「相続時精算課税」という制度を使えば、贈与税がかからないケースもあるそうです。
相続時精算課税制度ってなに?
→ 一定条件のもとで、生前贈与が累計2500万円まで非課税になる制度です。
相続時精算課税制度を使わない場合、贈与税の最高税率は?
→ 50%です。
相続時精算課税制度を使うと、誰でも税負担は減少する?
→ 必ずしもそうとは限らないです。
親が生きている間に子供に財産贈与するには二つの方法があります。
一つは従来型の贈与です。年間百十万円までなら税金が掛かりませんが、百十万円超は金額に応じて税率が上がり、最大50%の贈与税が掛かります。
一度に多額の資金を贈与する場合には、税率が高くなるため使いづらいとされてきました。
そうした声に応え二00三年に導入されたのが相続時精算課税制度です。
一人の親からの生前贈与が累計二千五百万円になるまで贈与税が一切発生せず、二千五百万円を上回るときは、超えた金額に対し一律20%の税率で贈与税が課税されます。
精算課税制度ではその後相続が発生したときに、精算課税で贈与した財産を相続時に残った財産と合算して相続税額を計算します。
払った贈与税が相続税に足らない場合は不足分を納め、逆に払いすぎなら還付を受けられます。
注意点は要するに贈与と相続を一体として計算するわけですから、精度を使わなかった場合に比べて相続税が減るわけではないことです。
しかし相続税が発生しない人にとっては贈与税が減る分有利です。
一般的にメリットがあるのは、相続税がかからない人が、まとまった財産を贈与されるときです。
例1
ABいずれも相続人は子供一人、ぞうよから三年以上経過した後に相続が発生するケース。
まずAは相続税がかからない人の場合。
五千万円の財産を持つ親から子供が一千万円もらい、その後、四千万円を相続します。従来制度なら相続税はかかりませんが、贈与税は二百三十一万円。精算課税制度なら贈与税、相続税はともにゼロです。
Bで今度は相続税が発生する場合を見てみましょう。親が一億円の財産から二千万円を子供に贈った後で相続するケースです。
精算課税制度を使えば贈与税はかかりませんが、相続税は六百万円。しかし従来制度を使って二百万円ずつ十年間贈与すると、贈与税と相続税を足しても三百四十万円で済むのです。従来制度なら毎年の非課税枠百十万円の十倍の千百万円分に税金がかからないためです。
ただどちらが有利かは贈与の仕方や財産の種類でも異なります。
例えば精算課税制度でもらった財産は、相続発生時に、もらった時点での価格で評価します。土地や株式が相続時に値上がりしていれば、制度を使わなかったときに比べ相続税を抑えられる。逆に値下がりしていれば税額が膨らむのです。
※この特例も精算課税の住宅特例も、使えるのは期限があります。
※制度は複雑なので実際には税務署や税理士に相談しましょう。
精算課税制度は二00三年だけで約八万件の利用件数があり、総額1兆2000億円の贈与が行われました。
全財産ではなく、財産の10−20%を贈与するケースが多いとの声が聞かれます。
すべて渡してしまうと相続税が発生したときの納税資金に困ったり、その後、親身になって面倒を見てくれなくなるという不安があるのかもしれません。
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