

日本経済新聞(2006年6月23日)の「けいざい新景」(キーワード = 脱デフレ)「マネー再び消費に回る」の中で以下の文章がありました。参考にしていただければと思います。
五月下旬、大手のオークション会社が都内のホテルで開いた美術品の競売会場には、五十代から六十代の会社員や自営業者らが大勢詰めかけた。
預金するより得
藤田嗣治作の「少女」が三千二百万円など、日本を代表する画家の作品が次々と落札されていく。国内美術品競売市場は二00五年に約百七十億円とバブル崩壊後の最高を記録。勢いは今も止まらない。大手のオークション会社社長は「物価上昇に備え、資産形成目的で美術品を買う人が増えている」と話す。
マイナス金利
第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは美術品などの投資が活気づいている背景で、実質ベースで「マイナス金利」になっている点が見逃せないと指摘する。
実質金利は、名目の預金金利や貸出金利から消費者物価指数の変動率を差し引いたもの。預金金利の場合、例えば大手三行の一年物の定期預金金利は現在0.08%。四月の消費者物価は前年同月比プラス0.5%で、実質金利は差し引きマイナス0.42%となる。
実質マイナス金利の下では、預金の利子が増えるペースよりも商品全般の価格上昇が早いため、時間がたつほど預金の価値が実質的に目減りしてしまう。預金するよりも、モノを買ったり投資する方が得というわけだ。
景気回復で地価が上昇に転じた都心の不動産市場でも、美術品と似た動きが起きている。
東京・勝どき。今月引渡しの投資用マンションは昨秋の販売開始から数ヶ月で完売した。総戸数二十八戸のうち十九戸は投資家が購入価格の八割以上のローンを組んで投資。仲介するシノケンハーモニーの本部長は「借金してでも不動産に投資する個人が増えている」と話す。
デフレ期には現金を自宅に「タンス預金」としてため込む人も多かった。銀行の経営不安に加え、物価が下がり続ける時期には現金を保有しているだけでも実質的な価値が高まったからだ。民間の推計では今も二十兆円程度のタンス預金があるとみられる。
だが、物価上昇が続くとの見方が広がれば、タンス預金を消費や投資に回す動きが加速する公算が大きい。第一生命経済研究所は「タンス預金がフルに消費に回れば国内総生産(GDP)を四%押し上げる」と試算する。




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